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事業承継の問題は、近年特にその重要性が叫ばれています。中小企業は全会社の9割以上になりますし、雇用においても7割以上、技術的にもすばらしいものを持った会社がいくつもあります。これらのうち、後継者がいないということから、会社を清算せざる得ない状況に陥っている会社があります。これは、就労の問題からも技術的な問題からも、看過できるものではなく、国もこの問題を真正面から取り上げ、中小企業時経営承継円滑化法、取引相場のない株式の納税猶予制度ができました。しかし、法律ができたので、すぐに事業承継が円滑に進むか、と言えばそのようなことはまったくありません。事業承継を進めるには、後継者、幹部社員、他の従業員、得意先、金融機関、他の株主、税金等の様々なことを考慮しながら、自主的に、精力的にかつ慎重に行動を起こさなければなりません。

1. 事業承継計画

事業承継計画とは、「後継者へ代表権と株式を移転させながら、事業を存続・拡大させる」という目的のために、自社の中長期計画に、代表権や株式の移転を組み込んだ計画書のことを指します。

それでは、なぜ事業承継計画を作成する必要があるのでしょうか。それは、円滑な事業承継のためには、様々な考慮すべき課題があるからです。例えば、後継者の資金負担を可能な範囲内に抑える、あるいは株式の異動に伴う税金を最小にするといった資金繰りが大きな問題になります。また、多くの関係者の理解を得る必要がありますので、後継者自身が確実な実績や経験を積み上げ、説得力を得なければなりません。そのためには、どうしても一定の時間、数年間という時間が必要になります。

多大な時間をかけながら、たくさんある作業を場当たり的に行っていたのでは、最終の「後継者へ代表権と株式を移転させながら、事業を存続・拡大させる」という目標が見失われるおそれがあります。そこで、この目標を前提として、考慮しなければいけない事項を一つ一つ整理し、再確認することが重要です。この事業承継計画は、当然ですが、オーナーと後継者が一緒に作成していくものです。その過程で、経営理念の共有化を図る場面もあります。事業承継である以上、経営理念の承継を抜きにすることはできません。そのことは、後継者にとって、会社経営を真剣に考える貴重な機会です。また、この経験を通じて、自社の置かれた状況、自分の置かれた状況を再認識することになります。オーナーからすれば、様々な情報や人に触れた後継者の以前とは違う側面を発見するかもしれません。そのことは、彼が後継者として本当に適しているのかを見極める機会にもなるでしょう。この機会に幹部なども後継者として認知を深めてくれます。それにより、後継者は幹部とも従来以上の意思の疎通を図ることもできるでしょう。これは、後継者の人脈、知識、経験等の育成という側面もとても大きいのです。

2. 後継者教育

後継者が親族だとすると、外部の会社に勤めてから、自社に入社するパターンは多いと思います。学生からいきなり入社すると、社会を知らないのでかなり非常識な言動をしがちですが、社長の身内ということもあり、それを諫めることのできる人間はなかなかいません。そうすると周りがその人を見放していきますので、ますます孤立していき、結局後継者としては不適格ということになってしまいがちです。まずは外部の会社に勤めることにより、ビジネス常識などを習得し、将来のビジネスに有効な人脈作りを意識して行わせるべきです。その点からも、勤め先はできれば取引先、同業者で規模が大きく学ぶべき箇所が多いと思われる会社が望ましいのです。ここで得た経験・知識を自社に戻ったときに遺憾なく披露して実績を作ることが、社内を掌握するのに一役買ってくれるでしょう。またこの外部のお勤め期間はそれほど長い必要はありません。30歳くらいまでで宜しいかと思います。あまり長いのも弊害があると思います。そもそも、従業員という立場は、それほど大きな責任を背負わされるものではありませんから、はっきり言って、精神的には楽です。それに比べて、中小企業の経営者は、従業員の生活に対する責任や借入金に対する連帯保証等、プレッシャーは比較になりません。ですから、サラリーマンとしての安逸の生活に慣れ親しみすぎると、もはや中小企業の社長という厳しい立場につこうという気力がなくなってきてしまうのです。

ローテーション人事については、各部署での順番に経験する中で、すべてを同じ期間にする必要はまったくなく、むしろ会社にとって、競争力の源泉となっているものについてはしっかりと理解する必要がありますので、ぜひ部門間で強弱をつけてください。

会社に入ったときは、平社員から始めた方が良いと思います。と申しますのも、現場のことをよく知る必要があるからです。また、古参幹部を含めた社内の抵抗をなるべく少なくするためです。平社員から始めれば、昇進のスピードが他の人より速いにせよ、社内に一定の理解が生まれ、評価が確実に上がります。

そうして、一定の経験を積ませた後、部門長として一定の権限と責任を付与し、経営者の前段階として、実績をつくってもらいます。本当に望ましいのは、グループ内の子会社等の社長として送り込むことです。小さいながらも製造、販売などが会社として体をなしており、そこで自分自身の判断で会社をきりもりさせることは非常に良い経験となります。仮に業績が悪化すれば、他の社員から後継者としてどうなのか、と色々言われることがわかっていますから本人も必死です。その上で、結果として業績が悪化もしくは倒産となったとしても、多くの収穫があるはずです。

後継者教育における創業者のスタンスとして、重要なことは口を出し過ぎないということです。後継者のやることは、その判断・行動がどうも危なっかしくて、見てられなくて口を出したくなるものですが、そんなことをしてもほとんど役に立ちません。確かに時には失敗するでしょう。しかし、頼まれもしないのに口を出せば、いい加減にしろと逆に後継者の反発を招くことになり、社内が混乱してしまいます。創業者は後継者に相談された時に意見を述べる程度にとどめましょう。そうしないと後継者の自立が促されません。経営者なのに指示待ち人間となってしまいます。それに経営に関して言えば、いくら人が教えたところで、理屈では分かっても、やるべきことがすぐに実行できるものでもありません。自分が試行錯誤の中で、やっていくうちに徐々に学んでいくものです。実体験がなければ習得が難しいのです。この実体験は短時間ではなかなか得ることができません。いきなり本番で大失敗して会社をつぶさせないためにも、小さな失敗を徐々に繰り返して、学ばせます。これが事業承継に時間をかける大きな理由のひとつなのです。

3. 自社株対策

事業承継をする場合、かならずいつかのタイミングでオーナーから後継者に株式を移転します。その際に、後継者の資金負担を少なくするためには、自社株式の評価額を低くする必要があります。そのため、以下のような方法があります。

@ 純資産を少なくする方法
イ) 役員退職金の支給

オーナーが辞める際に、損金になる範囲で退職金を支給する。

ロ) 役員報酬の増額

損金になる範囲で役員報酬を増額する。

ハ) 生命保険

ガン保険等に加入して、利益を繰り延べる。

ニ) 含み損の実現
有価証券や不動産等の含み損失を実現させる。
A 配当金の減額
従来の基準よりも配当金の額を減額することによって、株価を下げる。
B 増資
従業員持ち株会や中小企業投資育成に増資を引き受けてもらい、1株当たりの株価を低くする。

C 従業員持株会へ譲渡
オーナーの所有する株式の一部を従業員持ち株会に譲渡して、後継者が取得する株式数を少なくすることによって、後継者の資金負担を少なくする。

他にも自社株式の評価額を低くする方法はありますが、どの方法を導入するのであれ、それの及ぼす影響を十分に検討して、慎重に実施して下さい。

より詳細な情報に興味がございましたら、以下のサテライトサイトをご覧ください。

 
真面目な事業承継マニュアル

しっかりとした事業承継対策をすることは、後継者や他の相続人に対して果たすべき 社長の責務とも言えます。しかし、事業承継は、人・株式・組織・個人財産等の問題 が複雑に絡み合い、一筋縄では解決できません。その複雑な問題を解くほぐすために、 このマニュアルをご利用ください。皆様の円滑な事業承継をお手伝いいたします。

 
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